初詣に行くと、お参りの後にお守りを授与してもらったり、
羽のついた矢を持って帰ったりする人を多く見かけますよね。
この矢は「破魔矢(はまや)」といって、
神様が宿る縁起物です。
「一年の好機を射止める」という意味合いがあるので、
家に飾ることで厄を祓い、幸福を呼び込むとされています。
ちなみに「授与される」というのは
「買うこと」の意味で用いられます。
なぜ授与というのかというと、お守りや破魔矢など、
神様や仏様が宿るとされるものに対して、
「売り買い」という言葉が相応しくないためです。
「神様や仏様から授けていただく」という意味から、
「授与される」という言葉を用います。
もともと、的に矢を射ってその年の作物が豊作になるか、
凶作になるかを占っていたのが破魔矢の起源とされています。
その頃、的は「はま」と呼ばれていたのですが、
後々「はま=破魔」、つまり「魔を破る」に通じるということで、
この当て字が使われるようになったのです。
実は、破魔矢にはいくつか種類があります。
家を建てる際に上棟式で供えるもの、
男の子が産まれて初めてのお正月を迎える時に供えるもの、
そして新年に初詣で授与されるものなどです。
その内、お正月に授与される破魔矢は、
本来なら神棚や床の間に飾るのが通例ですが、
マンションでは飾る場所も限られますよね。
神棚や床の間がどの家庭にもあるとは限りません。
そんな時はどうすれば良いのでしょうか。
神棚がないマンションの破魔矢の飾る場所は?
飾る場所は、リビングや玄関、寝室が一般的です。
神棚があるご家庭では、神棚に飾るようにしましょう。
床の間でも構いません。
しかし、そのような場所が無い場合は、
以下の3点を守って飾るようにすれば大丈夫です。
① リビングや玄関など、人が多く集まる場所
② 大人の目線よりも高い位置
③ 立てて飾り、こまめに掃除をする
リビングなら飾りやすく、掃除もしやすいですよね。
家族を見守っていただいているという安心感もあります。
ただし、神様が宿る神聖なものなので、
神様を見下ろすことのないよう大人の目線よりも高い位置に飾りましょう。
邪気が入ってこないように玄関に飾るという人も多いです。
破魔矢の方角や向きですが、
とくに決まりがないので、あまり気にしなくても大丈夫です。
どちらに飾る場合も、方角はあまり気にせず、
矢の尖った方を下に向けて立てて祀りましょう。
真上に向けて飾ると、天の神様に向けていることになるので、
この向きで飾るのは避けた方がいいです。
そもそも真上に矢の先を向けて飾るのは難しいと思いますが、
先の向きは、真上に向けないように注意して下さい。
向きや方角にこだわりたい方は、
一年の凶の方角に向けて飾るといいと言われています。
凶の方角とは、その年の干支が担う方角の逆の方角になります。
また、神社で向きの指示があった場合には、
指示された向きに飾るのが好ましいです。
飾ったところは、
いつも清潔を心がけるようにしましょう。
神様は広い御心の持ち主ですから、
汚れているからと怒るようなことはありません。
しかし、誰だって埃っぽいところに飾られるよりも、
綺麗な空間に飾ってもらった方が嬉しいですよね。
日頃から
「いつも私たち家族を見守ってくださり、ありがとうごさいます」
という丁寧で謙虚な気持ちを大切にしましょう。
マンションなど、部屋が狭くて飾る場所が無いという時も、
タンスの上や靴箱の上、食器棚の上など、
とにかく清潔にしておける高い場所であればどこでも構いません。
せっかくの幸運をもたらす縁起物なので、
くれぐれも飾らないまま一年が終わってしまった…
なんてことだけは無いように注意してくださいね。
破魔矢はいつまで飾る?
そろそろ年末だけど、
今ある破魔矢っていつまで飾っておくんだっけ?
と、ふと疑問に思うことってありますよね。
御札など、随分前に授与されたものを
貼ったままなんてことはありませんか?
初詣で授与された破魔矢は1年間飾っておき、
次の年の初詣で元の神社にお返しします。
古神札奉納所という場所に奉納しましょう。
近くに賽銭箱が置いてあるので、
目安は破魔矢と同じぐらいの金額ですが、
気持ち程度に入れるようにしましょう。
破魔矢を飾っておく期間は基本的に1年間ですが、
これは目安であって、
必ず一年後に返納しなければならないということではありません。
神様に有効期限付きなんてことは無いからです。
ただ、年始なら初詣でお参りに行き、
これからまた新しい一年が始まるというキリの良いタイミングなので、
多くの人がこの時に昨年の破魔矢を返納します。
1月15日には、返納された破魔矢やお守りなどを焚き上げる
「どんど焼き」が行われる神社もあるので、
一年間の感謝の気持ちを込めて神社へお返しし、
また新たに破魔矢を授与してもらうのが良いでしょう。
破魔矢の意味や由来
破魔矢はの意味は冒頭でも軽く説明しましたが、
破魔矢という名前の文字通り、魔を破るという意味があります。
由来は、飛鳥時代頃から行なわれていた射礼(じゃらい)という、
的に向かって弓を引き、矢を当て、
一年の作物の吉凶を占っていた競技からきていると言われています。
この競技が、お正月に行なわれる
破魔打(はまうち)と呼ばれる行事に変ります。
破魔打では、子供達がお正月に的に向かって弓を引き、
矢を当てて、年占を行ないました。
この時に行なわれた時の的を「はま」と言い、
矢を「はまや」、弓を「はまゆみ」と呼んでいた事から、
「はま」が「破魔」に転じて、破魔矢となりました。
さらに破魔打で使用された矢を、
子供の成長を願うために持ち帰った事が、
破魔矢が正月の縁起物になった始まりではないかと考えられます。
また破魔矢は元々、とくに男の子の成長を願うものでした。
今でもその風習は続いていて、
男の子の初正月に破魔矢を贈る風習があります。
破魔矢は、分かりやすく簡単に言うと、
お守りのような物になります。
しかし、破魔矢はお守りのように肌身離さず持ち歩く物ではないです。
家に飾って置き、
家族を悪い物から守ってくれるお守りだと考えるいいでしょう。
まとめ
破魔矢をこれまで飾っていなかった人も、
詳しい飾り方を知らずに祀っていた人も、
今年は正しい飾り方や処分方法を頭に留めて、
気持ち新たに神様をお迎えしてみてはいかがでしょうか。
新年の縁起物は、
これから始まる一年間をより幸せなものにしてくれるだけでなく、
日本人の文化や風習を世代間で伝えていく大事なきっかけでもあります。
破魔矢の由来や意味合いについても
改めてご家族で話してみてくださいね。
コメント